Fool on a hill

読んだ本やら、趣味の話やらを徒然なるままに書いていきます。

打ち合わせ前のチェックイン

半年ほど前からチームのミーティングで、「チェックイン」という営みを行っている。

具体的には、

  • ミーティングの最初に1人30秒ほど最近の出来事(プライベートでも何でも)を話す

というだけである。

だいたい打ち合わせの最初の5〜10分を、このチェックインに使う。

もう少しまともな(?)チェックインの定義を知りたい方は、以下を読んでもらうといいかもしれない:

    

yukogendo.com

チェックインを始めようと思ったきっかけは、

  • MITに留学していた際に、チームミーティングでチェックインを行っていた
  • いくつかのLeadershipに関する授業で、「チェックインをしたほうがいい」、「チェックインをするチームは、チェックインをしないチームよりも成功確率が高い」という話を聞いていた
  • たまたま「Trillion Dollar Coach : The Leadership Playbook of Silicon Valley's Bill Campbell」という本を読んでいて、チェックインの話が出てきて、やってみようと思った(← 直接のきっかけ)

という感じである。

話は逸れるが、MITに留学中に何となく見たり聞いたり体験したりしていたものを、しばらくしてから読書や会話をきっかけに思い出し、「やってみると面白そうだな」と思って、実際の業務で試してみる、というのが、たまにある気がする。こういうのも含めて、「学び」なのだろうと思う。

で、チェックインのいいところだが、個人的には、以下の4点かなと思っている:

  1. (予想していた以上に)楽しい
  2. アイスブレイクとしてちょうどよい
  3. (あまり発言しない人が)発言しやすくなる
  4. (チームに新しく人が入ってきた場合に)チームに溶け込みやすくなる

また、やってみると、期待していた以上に、みんな、楽しくやってくれていると感じる。隣のチームにもお薦めしているが、概ね好評な気がする。

「え、〇〇さん、そんな趣味があったの?」とか、「へ〜、□□さん、そういう家族構成なんだ?」とか、業務以外の様子が垣間見えて、お互いの距離が近くなる気がするからだと思う。

おそらく、従来であれば(コロナ前であれば)、打ち合わせの場所に行くまでの移動中の雑談やランチ、飲み会で、そういう会話が行われていたのだと思う。

リモートワークが基本となり、そういった雑談の機会がない昨今の状況においては、このような「打ち合わせ前のチェックイン」が有効になるのだと思う。ぜひ、お薦めしたい。

おまけ

蛇足だが、以下のYouTubeを見ると、リクルートの方が、「雑談した方がRetentionが上がる」とコメントされている(動画の中の12分ぐらいから3分ぐらいの部分):

    https://youtu.be/FU1z5MLeONc

 Retentionを高める、という意味でも、チェックインは有効なのでは?と思う 

 

Netflixの「No Rules Rules」を読んでの感想

本の概要

Netflixの「No Rules Rules」を読んだ。この本を一言で言うと、

  • NetflixのManagementの考え方(かなり独特)をまとめた本

となる。

もう少しだけ具体的に書くと、

  1. めちゃめちゃ優秀な人を採用する。そこそこ優秀な人は解雇する
  2. そのめちゃめちゃ優秀な人同士が、率直にお互いにFeedbackを与え合う環境を作る
  3. あらゆるルールを撤廃し、そのめちゃめちゃ優秀な人が、自身の裁量であらゆるDecision-makingを行うようにする
  4. 結果として、Agility/ Flexibilityを持ってInnovationを起こし続けられる

という考え方に基づいて行われているNetflixのManagementをまとめた本となる。

正直、日本の企業では真似できない部分もあるが、参考にすべき点は多いと感じた。例えば、

  1. 待遇(給与等)を変えることはできないが、できる範囲(通常の人事異動)で、この考え方を意識する
  2. 1on1等でそのような仕組みを作る
  3. Controlしようとする上長のマインドを変える

等は、今すぐにでもできそうだし、やるべきだと感じた。

Management、Leadershipについて、いろいろと考えたい人にはお薦めの本だと思う。

もう少し具体的な所感

上記の記載だと、本の内容に関する記載がほぼないため、もう少し具体的な「気になった点。なるほどなと思った点」を以下に書く:

普通の会社のやり方(ルールをたくさん作る)の駄目な理由
  • 何か間違いが起きるたびに、同じ間違いが起きないようにProcessやRuleを設ける。
  • 結果として、PoliciesやControl processesがはびこる。
  • そのルールの中でうまく振る舞える人が昇進するが、think freshly, shift fastができない
  • 多くのCreative Mavericksが不自由を感じ、会社を去ってしまう
  • 結果として、Innovationが起こせなくなる
Talent Densityを上げる
  • 優秀な人が多いと、お互いに学び、より早くタスクをこなすようになる。
  • これが、メンバーのMotivationと満足度を上げ、さらに成果が上がる。
  • 逆に、1人か2人の普通の人がいると、チーム内の全ての人のPerformanceを下げる。
  • よって、めちゃめちゃ優秀な人のみがチームにいるようにする
Be candor
  • チーム内でお互いに正直に意見を言い、Feedbackすることで、Politicsが消え、より仕事が速くなる。
  • お互いにFeedbackするようになると、より速く学び、よりeffectiveになる
  • 人は、Self-doubt、Frustration、 Vulnerabilityを感じるため、Constructive Feedbackを受けると、心が痛む。
  • また、それをわかっているからこそ、そういうConstructive Feedbackを言うのを避けようとする。
  • それは駄目。Constructive Feedbackを言い合うCultureを作ることが大事
  • また、Feedbackは、すぐに言うことが大事。時間が経つと価値がなくなる。
  • Leaderの役目: AgendaにFeedbackを入れる、Feedbackを促す、Feedbackを受けた時に感謝の意を表明する
4A Feedback: Feedbackを行うためのガイドライン
  • Aim to assist: 相手を助けるために行う
  • Actionable: 相手がアクションできるアドバイスを行う
  • Appreciate: 感謝する
  • Accept or discard: Feedbackを受け入れるか、聞き流すかは、受け手に任せられる
Bonus, KPIに基づいた評価
  • KPIに基づいた評価を行うのは良くない
  • 理由は、Netflixのような業界では、KPIが刻々と変わるため
  • すなわち、最低でも半年前にKPIを定義する必要があるが、その場合、そのKPIが半年後に価値がなくなった場合に、柔軟、かつ、迅速な対応ができなくなる
  • Netflixでは、Bonusないで、業界最高水準の給与を支払うため、そのような評価を行う必要はない
Open the Books
  • Transparencyを重要視する。秘密にしない。
  • 秘密にする、ということは、その人を信用していない、ということ
  • 会社から信用されていないと感じる人が、会社のために一生懸命働くことは難しい
  • Work for Netflixではな、Be part of Netflixになってほしい
Whisper wins and shout mistakes
  • 自分がへまをしたことを認めるべきである。
  • 自分の失敗を認めると、心が楽になるだけでなく、周りが自分のLeadershipに対して、より信頼を置くようになる。
  • 一般的に、すでに地位を築いたリーダーは、積極的に失敗を認め、告白することで、さらなる信頼を得られる
  • 但し、まだ地位を築いていないリーダーは、失敗を認める前にある程度の信頼を築くことを優先すべき
DON’T SEEK TO PLEASE YOUR BOSS
  • ある従業員が、失敗しそうな提案を持ってきた時、どうするか?
  • その人が、めちゃめちゃ優秀な従業員であれば、自分の意見に関係なく、その従業員に任せる。
  • その人が、めちゃめちゃ優秀な従業員でない場合、そもそもその従業員はチームメンバーの一人であってはいけない。
  • 従業員は、「the informed captain(最もよくわかっている人)」として決断を下す。
the informed captainが決断を下す際にすべきこと
  • the informed captainは、自分の信念に基づき判断を下せばいい、というわけではない。以下のステップを踏む必要がある:
  • 1: “Farm for dissent,” or “socialize” the idea.
  • 自分のアイデアに対して、他の人の意見を求める。
  • 2: For a big idea, test it out.
  • そのアイデアをテストする
  • 3: As the informed captain, make your bet.
  • 決断を下す
  • 4: If it succeeds, celebrate. If it fails, sunshine it.
  • 失敗したら、そこから何を学んだかを明らかにする
The Keeper Test
  • あるTeam memberが「明日、辞める」と言った場合に、引き止めたいか否かを考える。
  • 引き止めなくてもいい、と思う場合、即座にそのTeam memberに去ってもらい、より優秀な人をTeamに迎え入れるべき
Live 360度評価
  • Dinner等を利用し、リアルタイムに評価を言い合う場を設ける
  • 日本のようなCultureの場合、よりFormalな場とし、どのようにFeedbackすべきかを明確にした方が、スムーズにLive 360度評価を進められる
Lead with context, not control
  • 上司は、部下の考えと会社のStrategyがAlignするようにBroad contextを部下に伝える
  • 後は、上司は、部下に全ての情報を与え、かつ、部下に全ての決定を下させる
  • 全くコントロールもしなければ、監視もしない
  • 結果として、部下は、自らのDecision-making muscleを鍛えることになり、将来的に、より良い決定を下すことができるようになる
  • 但し、High talent densityを実現していることが前提である
  • なお、1on1 meetingsを駆使し、上司と部下の考えをAlignさせることは重要である
  • Reedは、25%の稼働を1on1 meetingsに使っていたことがある

「ヤフーの1on1」、「1on1ミーティング」を読んでの感想

本を読もうと思ったきっかけ

先日、チーム内で「1on1をやろう」という話になったので、

  • ヤフーの1on1―――部下を成長させるコミュニケーションの技法
  • 1 on 1ミーティング 「対話の質」が組織の強さを決める

の2冊を読んだ。

その部署は、100人強のエンジニアが所属する部署で、コロナの影響もあり、コミュニケーションが減っている、人とのつながりが減っている、という課題感があり、部内の人事育成を担当するメンバー(4人程度)で、「1on1をやろう」という話になった。で、そもそも「1on1」の定義が曖昧だと、部署の全員に「1on1をやろう」という働きかけができないので、まずは、本を読んで、定義を合わせようとなった。なお、外部の講師を雇って、研修をしてもらう、というアプローチもあるが、研修に参加しない人も出てくるので、まずは「本を読む」というのがいいと考えた。

なお、3年ほど前に、他の会社(Google, リクルート)に転職していった後輩と飲んだ際に、

  • リクルートでも、Googleでも、週に1回、30分、上長と話す機会がある
  • 基本、雑談になるが、好きなことを話せる
  • 転職したばかりで、不安があったり、わからないことがあったりするので、この営みはかなり助かっている
  • 毎週、話すと、雑談のネタもなくなっているが、雑談がない中で振り絞って話すからこそ、構築できる関係性があるのでは、という気がしている
  • 〇〇さん(私の名前)も絶対にやったほうがいいですよ!!!

と教えてくれたのが、かなり心に残っていて、今、思うと、あれは「1on1」のことを言っていたんだな〜と思う。なお、その時は、「今更、自分のチームのメンバーに、毎週30分、面談やるよ」というのは恥ずかしいなと思った記憶がある。その飲み会の直後に、1年間の海外留学をしたので、恥ずかしいと思いつつ、それでも実施したのか、結局、実施しなかったのかは謎のままだが、おそらく実施しなかったと思う。

この「今更、…」という気持ちは、根深いのだろうなと思う。とは言え、今なら、海外留学での経験や帰国後の試行錯誤の経験もあり、「それでもやらないと」と少しは思えるとは思う。

2冊の本の内容

で、肝心の本の内容だが、個人的に「なるほどな」と思ったのは、以下の点だった:

  • 1on1の前は、上司も部下もコミュニケーションを取りたいと思っていたが、きっかけがなかった。1on1が良いきっかけとなった。
  • 「毎週1回30分」という時間が確保されていることが大事。不定期では意味がない。
  • 頻度が大事であり、15分でもいいので、毎週行う方がよい。
  • Yahooのような業界では、上司が部下に正解を教えることができず、上司と部下とが、ともにより確からしいものを探す必要がある。その際に1on1は真価を発揮する。
  • 部下に「見ている」と伝えることが大事であり、1on1は「見ている」と伝えることができる
  • 雑談でもいいが、できれば、部下が話すテーマを決め、上司は、部下が話すことに対して、壁打ちの壁になることを心がける
  • 管理職同士でピア・コーチングを行うのもよい。なぜなら、リモートワークも増えて、管理職間のコミュニケーションも減っているから

 この2冊の本を読んだ今なら、Googleリクルートに転職していった後輩の「絶対やったほうがいいですよ」というのは、より深く理解できる気がする。チーム内のコミュニケーションに課題を感じている方は、ぜひ、この2冊を読み、かつ、チーム内で実践してみることをお薦めする。

※ と言いつつ、このエントリーを書いている時点で、私自身は、まだ自チームでの実施をしていないが… (GWに読み、かつ、まだGW中なので、チームメンバーと話す機会がない…)

自チームで始める場合のトピック

自チームで始める場合には、

  • 話すテーマは部下に考えてもらう。上司は「今日は何の話をしましょうか?」から始める

というのが一番大事では?という気がする。

また、部下としては、急に「何か話して」と言われても、何を話していいかよくわからないということもあると思うので、サンプルとして、以下を提示するのがよいと思う:

  • 普段の業務で気になっていること(← これをメインとする)
  • チームの課題
  • チームの5年後のあるべき姿
  • やりたいこと、やりたくないこと
  • キャリア

(追記)1on1を行う上で注意すべきこと

先日、ある会社から1on1のレクチャーを受けた。「1on1のやり方を教える」ということを生業にしているだけあって、わかりやすく教えていただいたので、そのポイントをいくつか書いておきたい。

1on1を導入しようと思ったときに障害になる企業文化/マインドとは?

レクチャーをしていただいた会社は、1on1の導入を支援する会社であり、「1on1を導入しようと思った時に、何が障害になるか」について、わかりやすく説明してくれた:

  • 問題のある企業文化/マインド
    • 部下は、上司の指示通りに動くべき
    • 上司は、部下に指示を与えるべき。部下に正解を与えるべき

また、そのような企業/チームは、1on1を通して、以下のような企業文化/マインドを目指すべきとのこと: 

  • 1on1を通して目指すべき企業文化/マインド
    • 部下は、自ら自分の課題に気づき、自ら自分の課題解決方法を考え、主体的に行動に移せる人材
    • 上司は、部下に課題を気づかせ、解決方法を考えさせ、行動する勇気を与える

私が所属するチームはすでに1on1を始めているが、新しいチームで1on1を始める場合には、このような視点でそのチームを見た上で、どのようにして1on1を始めるべきかを考えるのは有効そうだなと思う。

1on1の3つのStage

一般的に、何かに習熟するためには、自分のレベルを客観的に測定することが重要だと思う。人間は、測定値を見るからこそ、より良くしていこうと思う生き物だと思う。

で、1on1には、以下の3つのStageがあるとのこと:

  • Stage 1: 聞き手(上司)が話してしまう、指示してしまう
  • Stage 2: 聞き手(上司)は、話して(部下)の話を聴く、傾聴する
    • 聞き手は、話し手に適切なフィードバックができず、組織が緩むと感じてしまう場合がある。ただ、ここは通過点と思うべき。
  • Stage 3: 聞き手は、話し手の話を聴き、内省を促す。
    • 経験学習という理論(経験を通じて、自分で考えることで成長する)
    • 話し手は、仕事で上手くいかないことを自律的に考え、相談し始める

自分の1on1がどのStageにあるかを意識してみるといいのでは、と思った。

細かいTips

以下に、1on1を行う上で、聞き手(上司)が上手く答えにくいケースを3つほど集めてみた:

Case 1:
  • Aさん(部下): この問題について、Bさん(上司)はどう思いますか?
  • Bさん(上司): 
    • 良い例: 私の意見は後で言うとして、まずはAさんの考えを聞きたい
    • 悪い例 1: 私は○○だと思うよ
    • 悪い例 2: Aさんはどう思う?(質問に質問で返す)
Case 2:
  • Aさん(部下): あの会社の方針、イマイチですね。
  • Bさん(上司): 
    • 良い例: あなたは、会社の方針に納得して仕事をしたいんだね
      • 相手の気持ちを肯定する
    • 悪い例 1: あれ、イマイチだよね
      • 会社としては、肯定してはいけない
    • 悪い例 2: あなたはそう思うんだね。でもさ~
      • 相手を肯定しているように見えて、「でもさ~」が入ると台無し
Case 3:
  • Aさん(部下): 中間報告を怠ったため、スケジュールが遅れ、納期に間に合いませんでした。
  • Bさん(上司)
    • 良い例: その時、何を考えていた。どういう気持ちだった。何をしていたのか?
      • 想い、気持ち、行動に焦点を当てる
    • 悪い例: なんで中間報告を怠ったの?
      • 「なんで?」と言われると言い訳を考えてしまう。
      • 「なんで?」は基本NG

こういういくつかの良い例/悪い例を認識した上で、自らの1on1を振り返るのは有益ではと思った。

とりあえず、「なんで?」は使ってそうだなと思った。以後、注意したい…

(改めての)1on1の価値とは?

最後に、このレクチャーを通して、改めて感じた1on1の価値やポイントを以下にまとめてみた:

  • 聞き手は、沈黙を恐れない。話し手が沈黙するのは、内省を始めたサイン。我慢して待つ。
    • 我慢できず、話しかけるのは逆効果。
  • 聞き手は、考えを聞かずに、気持ちを聞く。
    • 人は、考えには正解があると思うが、気持ちに正解はないと思う
  • 要するに、内省/Reflectionをいかに促すか?
    • ヒトは、何かに挑戦し、それを内省することでのみ成長する
    • 振り返りが重要
  • 1on1(成長)とは、自らの価値観を明らかにし、世の中にあった価値観にUpdateしていく営み

 

Mid-career Business Schoolは意味があるのか?

※ 40代の前半に1年ほどボストンにあるMid-careerのBusiness Schoolで勉強していました。

帰国後に「どうでしたか?」と訊かれることがたまにあるので、自分なりの「どうでしたか?」をメモ書き程度に残すと、以下となる:

  1. この年齢(30歳後半から40歳前半)では、Hard Skillsはほとんど身につかない
  2. Soft Skills (Leadershipやメンタル的な考え方) はかなりためになる
  3. Sabbaticalという意味での価値も大きい

1. に関しては、「授業のレベルが、素人にとっては難しいが、玄人にとっては易しい」というケースが多く、そのように感じた。周りのクラスメートも同じことを言っていたように思う。

2. に関しては、もともとそのBusiness SchoolがLeadershipに力を入れている、というのもあると思うが、いろいろな授業で、いろいろな形で出くわすので、結果的に、何となく腑に落ちた、という感じがした。いずれにせよ、今、思い返せば、勉強になったな~と思う。なお、Leadershipやメンタル的な考え方とは、例えば、「Fixed Mindset vs. Growth Mindset」、「Servant Leadership」、「Humble Inquiry」、…といった考え方である。

3. に関しては、それまでの会社での業務をすっかり忘れて、異国の地で違うことを経験する意味は、思っていた以上に大きい気がする、という感じである。間違いなく贅沢な時間の使い方をしているなと。

尚、2. に関しては、帰国後も、その類の本を英語で読むようにしていて、その読書の効果もあるのかなとは思う。特に、帰国後の読書の場合、会社での業務ですぐに実践できることがあり、それが役に立っているな~と思う。

Mindset, Carol S. Dweckを読んだ感想

※ 実際に読んだのは、1年前です(2020年5月ぐらい)

あるLeadershipの授業で「Growth Mindset vs. Fixed Mindset」という考え方を聞き、非常に感銘を受けたので、その原本とも言える本を読んだ。

Fixed Mindsetとは、「自分の能力は決まっており、努力しても変わらない、と思ってしまう考え方」で、Growth Mindsetは、「自分の能力は、常に成長し続ける、と信じて、努力し続けようとする考え方」である。当然、Fixed Mindsetよりも、Growth Mindsetの方がいいが、人は知らず知らずのうちに、Fixed Mindsetを持ってしまう、という話である。

例えば、「年を取って、あるいは、偉くなって、なかなか馬鹿な質問ができなくなる(いわゆる、Dumb Questionsを言えなくなる)」というのも、Fixed Mindsetの一種である。「馬鹿に思われたくない」、「Smartだと思われない」と思うが故にそのように振舞ってしまう。もちろん、成長という観点からは、恥ずかしい思いをしてもいいので、何でも質問をして、自分の知識を広げた方がいい。が、なかなか、そうはできないよね、というのがポイントである。

「技術者は中途半端に一流ほど保守的になる」という話を聞いたことがあるが、これもFixed Mindsetの一例だと思う。技術者が若いころに習得した技術は、往々にして陳腐化してしまうものである。この時、真に一流の技術者は、新しい技術に挑戦し、自分の領域を広げていく。但し、この新しい技術に挑戦する場合、いきなり初心者として始める必要があり、いったんプライドを捨てて、いろいろな人に教えを乞いながら、学んでいく必要があり、口で言うほど簡単ではない。ちなみに、MITでは、そのように挑戦していくことを、"Get Out Of Your Comfort Zone."という。一方、中途半端に一流な技術者は、そのような挑戦ができず、自ら得意な技術をひたすらやり続けることになる。この考え方は、33歳ぐらいのときにシリコンバレーのオフィスにいた時に、当時の上司から教えてもらったが、今でも大事にしている(と言いつつ、その話を聞いた瞬間はあまり実感がわかなかったが)。

授業を聞いていて、あるいは、この本を読んでいての一番のTake Awayは、

  • Fixed Mindset vs. Growth Mindsetという考え方が存在するということを認識し、Fixed Mindsetに陥りそうになった時に、今、自分はFixed Mindsetに陥りそうになっていると認識することが大事である

という点である。人間は、誰しもFixed Mindsetに陥ってしまうものであり、そこは避けられないが、まずは、その状態に陥っていることを自覚しようねって話かと。

授業では、より具体的には、Fixed Mindsetに陥った出来事をノートに書き、同じような状況に陥った時を想定して、心の準備をすることで、かつ、そういった営みを続けることで、常に、Growth Mindsetを持ち続けることができると言っていた。正直、そこまではできていないが、「恥ずかしいからやめようかな」と思ったときは、心の中で「今、Fixed Mindsetに陥っているな」と思うようにはしている。

尚、子どもの教育においても、このFixed Mindset vs. Growth Mindsetの考え方は重要らしい。子どもが、頑張って勉強をして100点を取った時に、「すごいね!100点取ったね!」と褒めると、子どもは、「100点を取らないといけない」と思い、次からも100点を取ろうと頑張る。しかしながら、そういった子どもは、100点が取れないと思うと、そもそも挑戦をやめてしまうらしい(Fixed Mindsetを持ってしまう)。一方で、子どもが、頑張って勉強をして100点を取った時に、「よく頑張ったね!」と褒めると、子どもは、「次も頑張ろう」と思い、いろいろなことに挑戦するMindsetを持つ(Growth Mindset)を持つ。らしい。

ただ、ついつい「100点取ったの、すごいね!」とは言ってしまうので、私は、時々、自分の子どもに、「Fixed MindsetとGrowth Mindsetという考え方があってね、Growth Mindsetを持ち続けないといけない。『100点取ったね、すごいね』と褒めるのは良くないの」と言うようにしている。適切に褒める自信がないので、だったら、その考え方を伝えた方が早いなと…