Fool on a hill

読んだ本やら、趣味の話やらを徒然なるままに書いていきます。

Mindset, Carol S. Dweckを読んだ感想

※ 実際に読んだのは、1年前です(2020年5月ぐらい)

あるLeadershipの授業で「Growth Mindset vs. Fixed Mindset」という考え方を聞き、非常に感銘を受けたので、その原本とも言える本を読んだ。

Fixed Mindsetとは、「自分の能力は決まっており、努力しても変わらない、と思ってしまう考え方」で、Growth Mindsetは、「自分の能力は、常に成長し続ける、と信じて、努力し続けようとする考え方」である。当然、Fixed Mindsetよりも、Growth Mindsetの方がいいが、人は知らず知らずのうちに、Fixed Mindsetを持ってしまう、という話である。

例えば、「年を取って、あるいは、偉くなって、なかなか馬鹿な質問ができなくなる(いわゆる、Dumb Questionsを言えなくなる)」というのも、Fixed Mindsetの一種である。「馬鹿に思われたくない」、「Smartだと思われない」と思うが故にそのように振舞ってしまう。もちろん、成長という観点からは、恥ずかしい思いをしてもいいので、何でも質問をして、自分の知識を広げた方がいい。が、なかなか、そうはできないよね、というのがポイントである。

「技術者は中途半端に一流ほど保守的になる」という話を聞いたことがあるが、これもFixed Mindsetの一例だと思う。技術者が若いころに習得した技術は、往々にして陳腐化してしまうものである。この時、真に一流の技術者は、新しい技術に挑戦し、自分の領域を広げていく。但し、この新しい技術に挑戦する場合、いきなり初心者として始める必要があり、いったんプライドを捨てて、いろいろな人に教えを乞いながら、学んでいく必要があり、口で言うほど簡単ではない。ちなみに、MITでは、そのように挑戦していくことを、"Get Out Of Your Comfort Zone."という。一方、中途半端に一流な技術者は、そのような挑戦ができず、自ら得意な技術をひたすらやり続けることになる。この考え方は、33歳ぐらいのときにシリコンバレーのオフィスにいた時に、当時の上司から教えてもらったが、今でも大事にしている(と言いつつ、その話を聞いた瞬間はあまり実感がわかなかったが)。

授業を聞いていて、あるいは、この本を読んでいての一番のTake Awayは、

  • Fixed Mindset vs. Growth Mindsetという考え方が存在するということを認識し、Fixed Mindsetに陥りそうになった時に、今、自分はFixed Mindsetに陥りそうになっていると認識することが大事である

という点である。人間は、誰しもFixed Mindsetに陥ってしまうものであり、そこは避けられないが、まずは、その状態に陥っていることを自覚しようねって話かと。

授業では、より具体的には、Fixed Mindsetに陥った出来事をノートに書き、同じような状況に陥った時を想定して、心の準備をすることで、かつ、そういった営みを続けることで、常に、Growth Mindsetを持ち続けることができると言っていた。正直、そこまではできていないが、「恥ずかしいからやめようかな」と思ったときは、心の中で「今、Fixed Mindsetに陥っているな」と思うようにはしている。

尚、子どもの教育においても、このFixed Mindset vs. Growth Mindsetの考え方は重要らしい。子どもが、頑張って勉強をして100点を取った時に、「すごいね!100点取ったね!」と褒めると、子どもは、「100点を取らないといけない」と思い、次からも100点を取ろうと頑張る。しかしながら、そういった子どもは、100点が取れないと思うと、そもそも挑戦をやめてしまうらしい(Fixed Mindsetを持ってしまう)。一方で、子どもが、頑張って勉強をして100点を取った時に、「よく頑張ったね!」と褒めると、子どもは、「次も頑張ろう」と思い、いろいろなことに挑戦するMindsetを持つ(Growth Mindset)を持つ。らしい。

ただ、ついつい「100点取ったの、すごいね!」とは言ってしまうので、私は、時々、自分の子どもに、「Fixed MindsetとGrowth Mindsetという考え方があってね、Growth Mindsetを持ち続けないといけない。『100点取ったね、すごいね』と褒めるのは良くないの」と言うようにしている。適切に褒める自信がないので、だったら、その考え方を伝えた方が早いなと…