システムが持続的かつ自動的に発展していくために
「お金2.0 新しい経済のルールと生き方」という本を読んだ。
その本の前半に「システムが持続的かつ自動的に発展していくための必須の要素」に関する記載があり、非常に勉強になった。「なるほどな!」という感じ。
具体的には、以下の7つ(本の中では、「5つ + 2つ」という説明をしている)の要素が満たされていると、システムは持続的かつ自動的に発展していくらしい。
- 報酬(インセンティブ)が明確である
- 常に状況が変化する。また、システムへの参加者が、常に状況が変化するということを知っている
- 不確実性がある。すなわち、運と実力の両方の要素がある
- ヒエラルキーがあり、可視化されている
- コミュニケーションが存在する。そのシステムに参加している人同士でコミュニケーションを取ることができ、議論したり、助け合ったりして楽しい
- 人は飽きるので、飽きた場合の次のシステムが存在する
- 参加している人が、同じ価値観や思想を共有している
逆に言うと、この7つの要素の内、1つでも欠けていると、システムは、持続的かつ自動的に発展していかないとのこと。
このシステムは、FBやTwitterのようなSNSサービスでもいいし、ある会社の組織でもよく、世の中のあらゆるシステムは、この法則に従っている、というのが、この本の著者の主張である。
確かに、FBやTwitterのようなSNSサービスは、この7つをしっかりと押さえているなと思うし、サッカー界みたいなシステムにおいても、この7つがしっかりと押さえられているというのはYESだと思う。
自分の身近なところでいうと、組織運営という意味で、この7つを意識しておくことは重要だなと思った。例えば、
- 報酬は十分か?
- 金銭的な報酬だけでなく、承認という意味での報酬や成長という意味での報酬
- 変化が存在するか?
- マンネリ化していないか?常に新しい取り組みや技術に挑戦しているか?
- 不確実性があるか?
- 一部の優秀な人に頼る構造になっていないか?それを覆すような何かがあるか?
- ヒエラルキーがあるか?
- コミュニケーションが存在するか?
- 楽しいコミュニティが存在するか?
- 寿命を意識できているか?
- チームの新陳代謝を図れているか?
- 同じ価値観や思想を共有できているか?
- ビジョンやミッションを共有できているか?
という感じである。
そういや、最近、私の周りで「コミュニティマーケティング」が流行っているが、そういったコミュニティを作る上で、この考えを知っている/知っていないで、大きく差が出るのではと思った。
(思考実験) チームメンバーが自らの意志でチームを移籍できるか否か
折角なので、「チームメンバーが自らの意志でチームを移籍できるか否か」という視点で、この7つを考えたい。
例えば、古きよき日本企業では、チームメンバーが自らの意志でチームを移籍できないが、外資(Googleとか)では、チームメンバーが自らの意志でチームを移籍できる。以下では、前者を「A」とし、後者を「B」とする
- 報酬は十分か?
- 報酬の定義が難しいが、良いチームには人が集まる、悪いチームからは人が去っていく、という意味で、Aでは報酬が不十分で、Bでは十分と言えるのかなと思う。
- 変化が存在するか?
- 人が動きにくいという意味で、Aには変化がなく、Bには変化があると言えるのかなと思う。
- 不確実性があるか?
- Aでは、なかなかチームがつぶれない。一方、Bでは、人気のないチームはつぶれる。という意味で、Aの方が不確実性はなく、Bの方が不確実性があると言えるのだと思う。
- ヒエラルキーがあるか?
- コミュニケーションが存在するか?
- コミュニケーションの定義が難しい。どちらでもコミュニケーションは存在するとは思う。とは言え、「どのチームに行きたい?」、「どういうチームを作ると人が集まるのか?」という視点でのコミュニケーションでは、当然、Bの方が良い。
- 寿命を意識できているか?
- これは文句なく、AよりもBの方が、チームの新陳代謝を図りやすい仕組みだと思う。
- 同じ価値観や思想を共有できているか?
- Bの方が、ビジョンやミッションに共感した人を集めることができる。結果として、AよりもBの方が、より同じ価値観や思想を共有できている状態になりやすい。
と考えると、明らかに「チームメンバーが自らの意志でチームを移籍できる仕組みの方がよい」となる。
ちなみに、上記では、1つの会社の中での話をしたが、「A: 転職しにくい世界(昔の日本)」、「B: 転職しやすい世界(これからの日本)」でも同じことが言えるのかなと思う。
思い付きでちょっと書いてみたが、かなりパシッと「どっちの仕組みがいいか?」を説明できて素晴らしいなと思った。